マッサンやで。
スコットランドの地図で、スカイ島のさらに東側。指の先ほどの小さい島に、人口160人ほどの島がある。名前をラッセイ島(Isle of Raasay)いうねん。
その島に2017年、島の歴史で初めての合法蒸溜所が建った。それがアイル オブ ラッセイ蒸溜所や。
この蒸溜所がいちばんの定番として出しとる一本、いわば看板銘柄の名前が「The Draam(ザ・ドラム)」や。2021年に登場して、2025年にこの名前が付いた。
先に結論を言うとくな。この一本は「ガツンと煙い酒」やなくて、煙をダークフルーツの甘みでくるんだ、バランス型のライトリーピーテッド。そして中身は6種類の原酒を混ぜて作られとる。この「6」の話が、めちゃくちゃおもろいねん。
ローソンの缶ハイボール「レジットハイボール」で名前を知った人も多いと思う。あの缶の中身は、この島から海を渡ってきた原酒や。370円の缶から入って、島の話まで行ってまうで🥃
※これは公式情報をもとにした予習レビューやで。青いボックスが公式の表現、オレンジがワイの勝手な想像や。
ISLE OF
RAASAY
SINGLE MALT
46.4%
アイル オブ ラッセイ シングルモルト – The Draam(700ml / 46.4%)
参考価格:9,350円(税込・日本正規品)
🎯 結論|こんな人に向いてる
- ✅スモーキーは好きやけど、正露丸級のガツンはちょっと重い、という人
- ✅レジットハイボールを飲んで「ここのウイスキーって、どんなんなん?」と気になった人
- ✅樽づかいの話や、蒸溜所の物語を知ってから飲みたい人
- ✅ノンチルフィルタード・ナチュラルカラー・46.4%という「素材そのまま」の仕様が好きな人
- ✅歴史の浅い新興の蒸溜所を、育っていく途中から追いかけたい人
🏝 ラッセイ島って、どこにあるん?
スコットランド本土の西、インナー・ヘブリディーズ諸島にあるのがラッセイ島や。有名なスカイ島のすぐ東隣、細長い形で寄り添うように浮かんどる。
広さは約24平方マイル(およそ62平方キロメートル)。公式が「大きさも形も、マンハッタン島によう似てる」と紹介しとるのが、なかなか粋な言い方やと思わへん? 同じサイズの島に、片や世界一の摩天楼、片や人口160人ほどの静かな島。同じ地面の上で、人はこんなに違う暮らしを選べるんやなあ。
行き方はシンプルや。スカイ島のスコンサー(Sconser)から、フェリー「MV ハレッグ」に乗って約25分。予約もいらん。着いた港から蒸溜所までは車で2分、歩いても10分。フェリーを降りたらもう目の前が蒸溜所、みたいな距離感やねん。
で、この島。歴史のほうもなかなか濃い。密造の時代だけやのうて、ジャコバイト蜂起もハイランド・クリアランスも背負っとる。
なかでもさっき乗ったフェリーの名前にまつわる話が、ワイはいちばん好きや。長なるから折りたたんどいた。時間ある人はここ、開けてみてな。
🧐 へぇ〜! ラッセイ島の歴史と、フェリーの名前の話(タップで開く)
この島の歴史は、正直しんどい時期のほうが長い。大きな出来事が2つあるから、順番に見ていこか。
① 1746年|王子をかくまって、島が焼かれた
当時のイギリスでは、「本来の王家はうちや」と主張する一族と、実際に王座に座っとる側とで争いが続いとった。その一族の若き王子が、フランスからスコットランドへ乗り込んできて反乱を起こす。
この人がボニー・プリンス・チャーリーや。「ボニー」はスコットランドの言葉で「美しい」。顔立ちの良さと人当たりの良さから、そう呼ばれた王子様やと思てくれたらええ。
1745年に挙兵して、一時はロンドンまであと200kmという所まで攻め上がった。けど1746年4月、カロデンという場所での戦いに大敗。わずか40分ほどで勝負がついたと言われとる。
敗れた王子には、とんでもない額の懸賞金がかけられた。追われる身になった王子は島から島へと逃げ回り、ラッセイ島にも2晩、身を隠したという。
――そして島は、その代償を払わされた。家は焼かれ、家畜も財産も奪われた。王子をかくまった、というだけの理由でな。
② 19世紀|人が追い出され、島から人が消えた
時代が下って19世紀。今度はハイランド・クリアランスと呼ばれる出来事が起きる。
これは難しい話やのうて、ひとことで言うと「地主が、住んどる人を追い出して、代わりに羊を放牧した」ということや。人が住むより、羊を飼うほうが儲かる――そういう理屈で、何世代も暮らしてきた家族が土地を追われた。
ラッセイ島も例外やなかった。1,000人を超えとった島の人口は、ここから減りに減って、今の160人ほどになった。集落がまるごと空っぽになった場所もある。
③ そして、詩人が生まれる
1911年、この島のオスガイグという集落でソーリー・マクリーンという人が生まれた。ゲール語(スコットランドに古くから伝わる言葉)で詩を書いた、20世紀を代表する詩人や。
彼の代表作の題名が「ハレッグ(Hallaig)」。これはクリアランスで人がおらんようになった、島の集落の名前やねん。誰もおらん村を歩きながら、消えた人たちを想う詩や。
――さて。ここで思い出してほしいことがある。
スカイ島からラッセイ島へ渡る、あのフェリーの名前。
🚢 MV ハレッグ(MV Hallaig)
――そう。あの詩と、おんなじ名前や。
島から人が消えた悲しみを書いた詩の名前が、今は島へ人を運ぶ船の名前になっとる。その船が、観光客と蒸溜所の樽を運ぶ。
歴史って、ちゃんとつながって前に進むんやなあ。ウイスキーを1本知ろうとしただけで、こんな話まで手に入る。これやからやめられへんねん。
🥃 2017年、島で初めての「合法」蒸溜
ここ、言葉を選ばなアカンとこや。
アイル オブ ラッセイ蒸溜所は「ラッセイ島で初めての合法蒸溜所」やねん。
ほな、それまでこの島に酒はなかったんか? ――そんなことはない。公式も「島は何世紀にもわたる密造の歴史に根ざしている」と書いとる。要は、非合法にはずっと造られとったわけや。
ここで「なんで密造なんかせなアカンかったん?」と思うやろ。ちゃんと理由があるねん。
📕 なんで「密造」になってもうたんか
【きっかけ】1707年、スコットランドとイングランドが1つの国になる。
この時から、スコットランドのウイスキーにも税金がかかるようになった。それまで自分らで勝手に造って飲んどったもんが、いきなり「お上に金を納めるもの」になってもうたわけや。
【追い打ち】1715年、麦芽(モルト)にも税がかかる。
1725年にはさらに増税。原料そのものに税がかかるんやから、小さい造り手にはこたえる。各地で暴動が起きたくらいや。
【結果】払えん人らは、隠れて造った。
税が上がるほど、隠れた釜が増えていく。19世紀の初めには、役人が没収した釜が年に1万4千基にのぼったという記録がある。当時スコットランドで飲まれとったウイスキーは、半分以上が密造品やった。
ここで大事なんは、密造が悪党の商売やのうて、ふつうの村人の暮らしそのものやったということや。
畑で穫れた大麦は、そのままやと腐る。けど蒸溜して酒にすれば日持ちするし、売れば現金になって地代も払える。島の人にとってウイスキーは、「保存のきく貯金」みたいなもんやったんやな。
つまり税がかかったからいうて、「ほな造るのやめよか」とはならへん。やめたら暮らしが立たんのやから。ほな残る道は1つ、隠れて造る――そういうことやねん。
で、ラッセイみたいな離島は、隠れるのにうってつけの場所やった。取り締まる役人は、わざわざ船で海を渡ってこなアカン。いつ来るかも分かるし、来たところで山に入られたら追いきれん。海と山が、そのまま隠れ蓑になったわけや。
流れが変わるのは1823年や。この年、政府が方針を切り替えた。税を半分以下に下げて、10ポンドの免許料さえ払えば堂々と造ってええことにしたんや。
これで多くの造り手が表に出てきて、密造は10年ほどでほぼ消えていく。今も名の残る有名な蒸溜所の多くは、この時期に生まれとる。
ただ――ラッセイ島には、最後まで「表に出た蒸溜所」ができんかった。島が小さすぎたんか、割に合わんかったんか。理由は分からへん。
周りの島や本土が次々と看板を掲げていくなか、この島だけは空白のまま。それが2017年まで、ずっと続いたんや。
2017年9月14日。この島で、はじめて法律にのっとったウイスキー造りが始まった。
何百年も隠れて造ってきた島にとって、この日はただの開業日やない。「隠れんでええようになった日」やねん。ロマンあるやろ。
手がけたのはR&B Distillersという会社。公式によるとビル・ドビーとアラスデア・デイの2人が2013年に出会い、この会社を立ち上げた。2015年にラッセイ島に目をつけて、2016年に建設許可が下りて、2017年9月14日に扉が開いた、という流れや。
今は島で25人以上を雇っとる。公式いわく島民の10%以上が蒸溜所で働いとる計算になる。人口160人ほどの島で25人の働き口や。町内会の集まりに行ったら、けっこうな確率で蒸溜所の人に当たる規模やな。
📋 基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 蒸溜所名 | アイル オブ ラッセイ蒸溜所(Isle of Raasay Distillery) |
| 所在地 | スコットランド/インナー・ヘブリディーズ諸島 ラッセイ島 |
| 運営会社 | R&B Distillers(2013年にビル・ドビーとアラスデア・デイが立ち上げ) |
| 操業開始 | 2017年9月14日(島で初めての合法蒸溜) |
| ウイスキー第1弾 | 2020年「Inaugural Release」(52%・オンライン先行4,350本+業務用3,150本) |
| 現行フラッグシップ | Isle of Raasay Single Malt – The Draam(2021年初登場。2025年に「The Draam」と命名) |
| 生産能力 | 年間188,000リットル(純アルコール換算・公式の施設データ) |
| ポットスチル | ウォッシュスチル5,000L+スピリッツスチル3,600Lの計2基 |
| 度数/容量 | 46.4%/700ml(The Draam) |
| 仕様 | ノンチルフィルタード・ナチュラルカラー |
| 熟成・瓶詰め | 蒸溜から熟成、瓶詰めまですべて島の中で行う |
| 参考価格 | 9,350円(税込・日本正規品) |
| 日本正規輸入元 | 株式会社都光 |
※フラッグシップは2021年に登場し、2025年に「The Draam(ザ・ドラム)」という名前が付いた。中身の6樽レシピは変わってへんで。
⚙️ 味を決める、4つの仕掛け
ここからが本題や。この蒸溜所、造りがめちゃくちゃ理屈っぽい。ええ意味でな。順番に見ていこか。
① 地下60mから汲み上げる、島の井戸水
仕込み水は蒸溜所の敷地内にある深さ60mの井戸から汲む。島の最高峰ドゥーン・カナ山に降った雨が、火山岩の上を流れ、ジュラ紀の砂岩でろ過されてこの井戸に溜まるんやそうな。
しかもこの井戸、ちゃんと名前がある。「Tobar na Ba Bàine(トバル・ナ・バ・バーネ)」=青白い牛の井戸。井戸に名前を付けて呼ぶ島の感覚、ええなあ。
山に降った雨が、島の地面をゆっくり通って、最後はグラスに入る。島まるごとが、でっかい浄水器みたいなもんや。
② 時間をかける、長い発酵
発酵の時間はしっかり長い。3日発酵と5日発酵の2種類を造り分けとる――というのが、公式の商品スペック表の書き方や。長く発酵させると、フルーツっぽい華やかな香りの成分が増えると言われとる。急がば回れ、を地でいっとるわけやな。
ちなみにここ、ちょっとおもろい話がある。公式サイトの中で、発酵時間の書き方が3通りに割れとるねん。
| 公式サイトのどこ | 発酵時間の書き方 |
|---|---|
| 商品スペック表(各ボトルのページ) | 3日と5日の発酵 |
| 造りの解説ページの本文 | 最長118時間(5日) |
| 同じページ下の施設データ表 | 115時間 |
どれも公式の記述や。ワイが調べた限り、どれか1つが「正解」とは言い切れんかった。
ただ「3日〜5日クラスの長い発酵をしとる」という中身はどれも同じやから、そこは安心して読んでな。細かい数字は、いずれ公式が揃えてくれるやろ。
③ ピートは「ある」と「ない」を両方つくる
ここが独特や。ピーテッド麦芽とノンピート麦芽の両方を使い、しかも別々に蒸溜して、別々に熟成させる。最後にブレンドして1本にするねん。
ピートはハイランド産。数字を出すと、麦芽の段階で48〜52ppm。……この数字だけ見たら「うわ、アイラ級のヘビーピートやん」と思うやろ? ところが瓶の中に残っとるのは6〜11ppm。
これが大事なとこで、ピートの香り成分は蒸溜と熟成の途中でごっそり減る。だから完成品はライトリーピーテッド。数字だけ見て身構えんでもええで。
※ppm=麦芽に付いたピート由来の香り成分の濃さを表す単位。詳しくは用語辞典「ピート/ピーテッド」で解説しとるで。
④ 樽は3種類。しかも全部、島の中で寝かせる
使う樽はこの3つや。
| 樽の種類 | どんな性格の樽か |
|---|---|
| ファーストフィル アメリカン・ライウイスキー樽 | 甘さに加えて、スパイシーな輪郭を与える樽。公式が挙げとる「ブラックペッパー」の印象にも関わってそうや |
| ヴァージン・チンカピンオーク樽 | 北米産の珍しいオークの新樽。新樽らしいバニラ、キャラメル、木のスパイスを足す役どころ |
| ファーストフィル ボルドー赤ワイン樽 | チェリーやブラックベリーのダークフルーツ感と、ほのかな色みを足す係 |
※どの香りがどの樽から来とるかを公式が1対1で明かしとるわけやない。ここは樽の一般的な性格からの読みや。
※チンカピンオーク樽=北米原産の珍しいオークの新樽のこと。詳しくは用語辞典「チンカピンオーク樽」へ。
そして熟成は全量、島の中。海風にさらされた島の空気の中で、ぜんぶの樽が眠っとる。
🔢 6つの原酒を束ねる「Na Sia(ナ・シア)」
さあ、ここが記事のいちばんおもろいとこや。
整理するで。ピートは「あり」と「なし」の2種類。樽は3種類。ということは――
ピート2種 × 樽3種 = 6つの原酒
この6種類の熟成原酒をヴァッティングして、1本のシングルモルトに仕上げる。
この設計を、ゲール語で「6」を意味する Na Sia(ナ・シア) と呼ぶ。
料理でたとえるなら、だしを6種類ひいてから、最後に合わせて一杯の吸い物にするようなもんや。ふつうは1つの鍋でまとめて煮るところを、わざわざ6つに分けて育てて、最後に配合する。手間はかかる。けどそのぶん、樽ごとの個性を確かめながら、最終的な組み立てを決められる。バッチごとに構成がちょっとずつ変わるのも、この小さな規模のヴァッティングならではやな。
公式は「この樽の組み合わせはスコッチウイスキー史上初」と言い切っとる。新しい蒸溜所やからこそ、前例に縛られず組めた設計なんやろな。
※ヴァッティング=同じ蒸溜所の複数の樽の原酒を混ぜ合わせて、味を組み立てること。
🥃 テイスティングノート
ここから味の話や。
先に正直なとこを書いとく。この蒸溜所、公式サイトに「香り・味・余韻」の3分割ノートを載せてへん。そのかわり、風味の要素をパーセンテージで示すフレーバー・プロファイルという独特の出し方をしとる。
やから青いボックスは、公式が出しとる情報をそのまま置いた。無い項目は「無い」と正直に書く。オレンジのほうは、ワイが缶のレジットハイボールで出会うたラッセイ原酒の記憶を頼りにした、勝手な想像や。
👃 香り
📕 公式テイスティング(アイル オブ ラッセイ蒸溜所 公式)
※公式は香り単独のノートを公表していない。全体の風味について「ライトリーピーテッドと、豊かなダークフルーツのフレーバーがバランスした味わい」、色は「ハニーゴールドに、赤ワインの色合いがほのかに差す」と表現している。
🗣️ マッサンの妄想
ワイが缶のサイレントムーンを開けた時、鼻に最初に来たんは煙やのうて甘さやった。あれが原酒の素の顔やとしたら、ボトルはその甘さがもっと濃いんちゃうかな。
ボルドー赤ワイン樽が入っとるから、たぶんベリーとかチェリーの、ちょっとジャムっぽい赤い香りが先に立つと予想するで。その奥から、チンカピンオークのバニラっぽい甘さがふわっと上がってくる。煙は最後、遠くの焚き火みたいに漂ってくる程度やと思うねんな。
👅 味わい
📕 公式テイスティング(アイル オブ ラッセイ蒸溜所 公式)
公式フレーバー・プロファイル:ダークフルーツ(チェリー・ブラックベリー)80%/木の煙 65%/ブラックペッパー 50%/甘いスパイス(シナモン)40%/バニラ 25%。
※この%は中身の配合比率やない。蒸溜所が香りの強さをグラフで見せとるだけの目安や。「ダークフルーツが8割入っとる」という意味やないから、そこは間違えんといてな(何の%かは公式も説明してへん)。
🗣️ マッサンの妄想
これ見た瞬間、ワイちょっと嬉しなってん。ブラックペッパー50%――缶のスプラッシュスターを飲んだ時に「黒コショウみたいな刺激やな」と思うたやつ、公式の表にちゃんとおるやんか。缶で感じた引っかかりの正体は、ライ樽から来とったんかもしれん。
やからボトルの味は、まず赤い果実の甘みがどんと来て、真ん中でシナモンと黒コショウがピリッと締めると予想するで。煙は主役やのうて、味の一番下で全体を支える土台の役やと思うねんな。
🏁 余韻
📕 公式テイスティング(アイル オブ ラッセイ蒸溜所 公式)
※公式は余韻の項目を明記していない。判断材料として確実なのは、度数46.4%・ノンチルフィルタード・ナチュラルカラーという仕様。
🗣️ マッサンの妄想
46.4%でノンチルフィルタードやから、口当たりにはそれなりの厚みが期待できそうや。
ただ正直に言うと、ノンチルやから余韻が長い、とまでは言い切れへん。そこは飲んでみなわからんとこや。
公式のプロファイルから読むなら、赤い果実の甘さが引いたあとに、木の煙と黒コショウとシナモンが残る――そんな終わり方ちゃうかな。果物が先に帰って、煙とコショウだけが店の戸締まりしとる。そんな余韻やったらおもろいなあ。
※ノンチルフィルタード=冷却して濾す工程を省く造り方のこと。詳しくは用語辞典「ノンチルフィルタード」で。
🗣️ マッサンの一言(独断・偏見・妄想込み)
正直に言うと、缶で飲んだ時は「へえ、スコットランドの離島の原酒か」くらいの気持ちやってん。
それが公式のフレーバー表を見て、自分が引っかかった黒コショウがちゃんと数字で載っとるのを見つけた瞬間、グラスの向こうに造り手の顔が見えた気がした。狙って入れとるんや、これ。
ボトルを開けたら、この6つの原酒がどう並んで聞こえてくるんやろ。想像するだけでもう楽しいわ。
🧐 へぇ〜! ボトル豆知識(タップで開く)
①「泊まれる蒸溜所」やねん。
19世紀の建物ボロデール・ハウスを改装した6部屋のホテルが、蒸溜所とおんなじ建物に入っとる。公式いわく「稼働中の蒸溜所と同じ建物に泊まれる、スコットランド唯一の蒸溜所」。窓の向こうにはスカイ島。下の階では今日も蒸溜が動いとる。その真上で寝る夜って、どんな気分なんやろな。
② 開いて5年で、賞をかっさらっとる。
Scottish Whisky Awards 2022で「スコティッシュ・ウイスキー・ディスティラリー・オブ・ザ・イヤー」と「ツーリズム・デスティネーション・オブ・ザ・イヤー」をダブル受賞。造りと、迎え方。その両方が評価されたわけや。人口160人の島から、ようここまで来たなあ。
③ ビジターセンターは5つ星。
2018年オープンのビジターセンターは、VisitScotlandの5つ星認定。フェリー25分で行ける5つ星、ええ響きやん。
⚖️ ええとこ・気になるとこ
✅ ええとこ
- ✅設計が明快:ピート2種×樽3種=6原酒。何をどう組んで味を作っとるかが、飲む前から分かる
- ✅仕様に妥協がない:46.4%・ノンチルフィルタード・ナチュラルカラー。冷却ろ過や着色で見た目を整えすぎず、原酒と樽の個性をそのまま出す仕様
- ✅蒸溜・熟成・瓶詰めまで島で完結:原酒を本土に送らず、ぜんぶ島の中でやり切る
- ✅原酒に触れる入口がある:ローソンの缶ハイボールでラッセイ原酒の方向を先に知れる。中身は別物やけど、入口としてはありがたい
- ✅話のネタが尽きん:詩の名前のフェリー、泊まれる蒸溜所、密造の歴史。飲みながら喋れる話が山盛り
❌ 気になるとこ
- ❌9,350円は、安くはない:熟成年数の表記がない若い蒸溜所のボトルとしては、なかなかええ値段や
- ❌ガツンとしたスモークを求めると方向がちがう:麦芽48〜52ppmの数字に期待して買うと、瓶の中は6〜11ppmのライトリーピーテッド
- ❌バッチで中身が動く:R-01、R-02.1、R-02.2……とバッチ表記が細かく分かれとる。前に飲んだのと同じ顔とは限らん
- ❌店頭で見かけにくい:定番棚に常にあるタイプやない。通販か、品揃えのええ専門店を頼ることになる
🗣️ マッサンの一言(独断・偏見・妄想込み)
9,350円という値段な。「若いのにええ値段するなあ」と思う人はおると思う。ワイも最初そう思うた。
けど中身を知ってから見ると、ちょっと景色が変わるねん。6種類の原酒を別々に育てるって、樽の管理も置き場所も倉庫も、ぜんぶ6通りいるってことや。しかも全部あの小さい島の中で。効率を考えたら、ふつうはやらん。
そのやらんことをやってる値段やと思えば、まあ納得やな。値札やのうて、設計図を見て決めたらええ一本や。
📊 似た方向のモルトと比べてみる
「ライトリーピーテッド」の枠で、うちで記事にしとる銘柄と並べてみたで。ラッセイ島のすぐ隣、スカイ島の主とも比べられるのが面白いとこや。
| 銘柄 | 度数 | 参考価格 | 味の方向 |
|---|---|---|---|
| アイル オブ ラッセイ | 46.4% | 約9,350円 | ライトなピート+赤い果実。黒コショウの刺激が芯にある |
| タリスカー10年(スカイ島) | 45.8% | 約5,000〜6,500円 | 海塩と黒胡椒。潮っぽさとスモークが前に出る |
| ハイランドパーク12年 | 40% | 約6,000〜7,500円 | 蜂蜜の甘さとピートのバランス型。まろやか |
| ボウモア12年 | 40% | 約5,000〜6,500円 | アイラの中では穏やか。スモークとシェリーの甘み |
※参考価格は執筆時点(2026年7月)の実勢の目安。時期・店舗で変動するで。
こう並べると、ラッセイの立ち位置がはっきりする。隣のタリスカーが「海と潮」なら、ラッセイは「赤い果実と樽」や。同じ黒コショウでも、タリスカーは潮風の中のコショウ、ラッセイはワイン樽の甘みの中のコショウ。同じ海域におって、狙う方向が全然ちゃう。ご近所さんやのに、この差がおもろいねん。
🍷 おすすめの飲み方(予想)
まずはストレートで少しだけ。グラスの底に薄く注いで、ダークフルーツと煙のバランスを確かめたいとこや。冷えすぎると香りを拾いにくいことがあるから、室温に近い状態で少し時間を置いて、開いてくるのを待つのがよさそうやな。
次に、少しずつ加水。6種類の原酒が入っとるということは、水を足した時に前に出てくる顔が変わる可能性がある。数滴ずつ足して、黒コショウが落ち着いて果実とバニラが出てくるか――そこを見るのが楽しいやろな。
ハイボールも試してみたい。ただ、缶で成立しとるからボトルも必ず向く、とは限らへん。薄めすぎず1:3くらいから様子を見るのが無難やと思うで。
🛒 買えるところ・ラインナップ
| ライン | 内容 |
|---|---|
| The Draam(フラッグシップ) | 46.4%/700ml/約9,350円。6樽レシピの看板。R-01、R-02.1…とバッチ表記で世代が分かれる |
| Cask Strength | 6樽レシピを高い度数のまま味わう年次リリース。59〜61%台 |
| Dùn Cana | ライ樽で寝かせたあと、オロロソ&PXのシェリー・クォーターカスクで追熟。52% |
| The Chinkapin | チンカピンオーク樽だけで熟成させた1本。業界初やそうな。50.2% |
| Na Sia シングルカスク | 6樽レシピの構成樽を1つずつ単体で瓶詰め。2024年「5年」→2026年「7年」→2028年「9年」→2030年「11年」と2年おきに出る |
| 限定リリース | マルサラ樽、ハンガリアンオーク、島の大麦を使ったものなど。日本向けの単独樽が出ることもある |
| ジン | 2019年から。ルバーブの根など10種のボタニカルを使用 |
※ラインナップと価格は執筆時点(2026年7月)。限定品は流通が読みにくいから、最新は公式・販売店で確認してな。
🥃 ウイスキー専門店でも探す
品揃え豊富な専門店なら、レア銘柄や限定品も見つかりやすいで。価格を比べる時の選択肢に入れてみてな。
▶ 武川蒸留酒販売(山梨の洋酒専門店・品数豊富でコスパ◎)
▶ MALKS(モルクス)(ベルーナ運営・希少/限定ボトルに強い)
📰 当サイトのガイド記事:ウイスキーを安く買う方法|5大通販ショップの賢い選び方(武川・MALKS・Amazon・楽天・Yahoo!の徹底比較)
🥫 ローソンの缶と、この島がつながっとる話
最後に、日本の話をさせてな。
2026年7月21日、ローソンで「レジットハイボール」という缶ハイボール2種が出た。350ml・8%・税込370円。中身に使うウイスキー原酒の99.9%が、このラッセイ蒸溜所のモルトや。
で、おもろいのがここ。この缶を出しとる株式会社都光という会社、アイル オブ ラッセイの日本正規輸入元と同じ会社やねん。
つまり「ボトルを日本に運んどる会社が、その原酒でコンビニの缶まで作った」ということや。ふつう、こんな高い蒸溜所の原酒を370円の缶に入れようとは思わへん。それをやってもうたわけや。
しかも2種の中身は、樽の配合を変えてある。サイレントムーンはチンカピンオーク樽の比率を高め、スプラッシュスターはライウイスキー樽の比率を高めてレモンピールを効かせとる。
さっき出てきた「6つの原酒」の話、覚えてるやろか。缶ハイボールの2種は、その6つの配合を変えて作り分けられとるってことやねん。370円の缶に、島の設計図がちゃんと生きとる。ようできとるわ、ほんま。
🥫 缶のほうを先に試したい人へ
ローソンの2種は実際に飲んで書いとるで → 【レジットハイボール 実飲レビュー】ローソン限定2種を飲み比べ
「99.9%って何の99.9%なん?」という謎はこっち → なぜラッセイ原酒は99.9%?|残り0.1%とスコッチの輸送ルールを考察
🎁 まとめ|人口160人の島が、世界に出した答え
アイル オブ ラッセイ蒸溜所を、ぎゅっとまとめるとこうなる。
スカイ島の隣、人口160人ほどの島に2017年に建った、島で初めての合法蒸溜所。何百年も密造でしのいできた島が、ようやく堂々と造れるようになった場所や。
造りは、地下60mの井戸水、3日と5日の長い発酵、ピートあり・なしを別々に育てる手間、そしてライ樽・チンカピンオーク樽・ボルドー赤ワイン樽の3種。掛け算して6種類の原酒=Na Sia。それをヴァッティングして1本にする。蒸溜も熟成も瓶詰めも、ぜんぶ島の中や。
フラッグシップ「The Draam」の味の方向は、赤い果実の甘みが主役で、黒コショウがピリッと芯を通す、ライトリーピーテッド。46.4%、ノンチルフィルタード、ナチュラルカラー。
そして日本のワイらには、370円のローソンの缶という入口がある。缶で方向を確かめて、気に入ったらボトルへ。こんなに親切な階段のある蒸溜所、なかなかないで。
ワイが今いちばん気になっとるのは、缶で見つけたあの黒コショウが、ボトルの中でどんな顔をしとるかや。6つの原酒が並んで聞こえてくる一杯、想像するだけでええ夜になるわ。
🗣️ マッサンの一言(独断・偏見・妄想込み)
人口160人の島やで。コンビニもない、信号もないような島から出た酒が、海を渡って日本のローソンの棚に並んどる。
その事実だけで、もう乾杯の理由としては十分やと思わへん? グラス持って「よう来たなあ」って言いたなる一本や。
次に大阪の夜、この島の名前を思い出しながらグラス傾ける日が楽しみでしゃあないわ。ええ島、覚えといてな🥃
❓ よくある質問
Q. The Draam(アイル オブ ラッセイ)って、スモーキーなん?
A. ライトリーピーテッドや。麦芽の段階では48〜52ppmとヘビー級の数字やけど、瓶の中に残るのは6〜11ppm。アイラのガツン系を想像すると方向がちがうで。煙は主役やなく、赤い果実の甘みを下から支える役や。
Q. 「R-01」「R-02」って何の意味?
A. The Draamのリリース世代を示すバッチ表記や。R-02.1、R-02.2みたいに枝番でさらに細かく分かれる。※「R」が何の略かは公式に定義が見当たらんかったから、ここは断定せんとくな。
Q. ローソンの缶ハイボールと、ボトルは同じ味なん?
A. 同じ蒸溜所の原酒やけど、別物と考えたほうがええ。缶は8%まで割ってあるし、2種それぞれ樽の配合も変えてある。方向性を知る入口としては最高やけど、ボトルはもっと濃い顔をしとるはずや。
Q. 蒸溜所は見学できるん?
A. できるで。2018年オープンのビジターセンターはVisitScotlandの5つ星認定や。スカイ島のスコンサーからフェリーで約25分。しかも同じ建物にホテルが入っとって、稼働中の蒸溜所に泊まれるスコットランド唯一の蒸溜所やと公式が謳っとる。
公式情報・参考リンク
📰 蒸溜所公式・正規輸入元
- Isle of Raasay Distillery 公式サイト
- 公式:造り(水・発酵・ピート・樽構成)
- 公式:ラッセイ島について
- 公式:蒸溜所へのアクセス(フェリー情報)
- 株式会社都光(日本正規輸入元):商品ページ
※価格・スペック・ラインナップは本記事執筆時点(2026年7月)のもの。
最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
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チンカピンオーク樽…北米原産の珍しいオーク(Quercus muehlenbergii)の樽。強めに焼くと木の糖がカラメル化して、トフィーやバタースコッチの甘い香りが出るとされるで。
ピート/ピーテッド…泥炭(ピート)で麦芽を燻して付ける、焚き火や正露丸みたいなスモーキーな香りのことや。
ppm(フェノール値)…スモーキーさの強さを表す数字。数字が大きいほど煙の主張が強い目安になるで。
ノンチルフィルタード…冷やして濁りのもとを濾す工程をあえてやらん造り。香味成分が残って、味に厚みが出やすいんや。
オロロソ(シェリー樽)…シェリーの中でも濃厚タイプ。ドライフルーツ・ナッツ・黒糖みたいなコクのある甘さが特徴や。
PX(ペドロヒメネス)…シェリーで一番甘いタイプ。レーズンや蜜みたいなとろっとした極甘の風味が付く樽や。
クォーターカスク…普通より小さい樽。中身が樽に触れる割合が増えて、短い期間でも樽の個性が早く濃く乗るんや。
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※本記事はアイル オブ ラッセイ蒸溜所の公式サイト、および日本正規輸入元・株式会社都光の公表情報をもとにした予習レビューやで。味の記述のうちオレンジの吹き出しはワイの想像や。価格・スペックは執筆時点(2026年7月)のもので、変わることがあるから最新は公式で確認してな。


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