クラガンモアは、ディアジオの「クラシック・モルト」で、スペイサイド代表に選ばれた蒸溜所や。
その12年のラベルには、こう書いてある。「THE MOST COMPLEX AROMA OF ANY MALT(どのモルトよりも複雑な香り)」。
ずいぶん大きく出たな、と思いながら飲んでみた。蜂蜜とバニラの甘さに、香ばしい穀物とナッツ、ちょっとスパイシーな感じ。
しかも、飲み方で主役が入れ替わる。ストレートは甘さ、ハイボールは穀物感、ロックはスパイス。同じ1本で、3つの顔が見られるんや。
【結論】こんな人におすすめ
- ✅蜂蜜やバニラの甘さに、香ばしい穀物の感じもほしい人
- ✅ストレート・ハイボール・ロックを、その日の気分で飲み分けたい人
- ✅5,000円以内で、12年熟成のシングルモルトを探しとる人
逆に、アイラみたいなガツンとした煙や、50%を超える力強さを求める人には、おとなしく感じると思うで。
クラガンモア12年の基本情報
| 商品名 | クラガンモア12年(Cragganmore 12 Year Old) |
| 蒸溜所 | クラガンモア蒸溜所(スコットランド・スペイサイドのバリンダロッホ・1869年創業) |
| タイプ | シングルモルト・スコッチウイスキー |
| 熟成年数 | 12年 |
| アルコール度数 | 40% |
| 内容量 | 700ml |
| 実勢価格 | 税込4,500〜4,900円くらい |
| 所有会社 | ディアジオ |
| シリーズ | クラシック・モルト・セレクション(スペイサイド代表) |
テイスティング
👃 香り
📕 公式テイスティング
甘い花の香りに、川辺のハーブや花、そこに蜂蜜とバニラが少し。
「どのシングルモルト・スコッチウイスキーよりも複雑な香り」(マイケル・ジャクソン(※1))
🗣️ マッサンの感想
ふわっと来るのは、蜂蜜系の軽やかな香りや。それと、すっきりした甘酒みたいな香りもあったで。
👅 味わい
📕 公式テイスティング
しっかりした麦の味わいに、甘い木の煙と白檀(サンダルウッド)(※2)がほのかに。
口当たりは、しっかりして丸みがあり、軽め〜中くらい
🗣️ マッサンの感想
口に入れたら、主役はバニラと蜂蜜。そこに香ばしい穀物やナッツの感じと、ちょっとスパイシーさも混ざってくる。甘いだけでは終わらへんで。
🏁 余韻
📕 公式テイスティング
長く、麦が主体の余韻。軽い煙と、ほのかな甘さ
🗣️ マッサンの感想
飲み込んだあとには、バニラと穀物の感じが残るんや。
(※1)マイケル・ジャクソン=イギリスのウイスキー・ビール評論家(1942〜2007年)。歌手とは別人
(※2)白檀=お香にも使われる香木
🗣️ マッサンの一言
蜂蜜とバニラの甘さが主役で、そこに香ばしい穀物とナッツ、ちょっとしたスパイス。ストレートでゆっくり飲んで、甘さを追いかけてみてな。
頭の平らな蒸留器と、昔ながらのワームタブ
クラガンモアには、ちょっと変わった形のポットスチル(※1)がある。2回目の蒸留に使う再留釜は、頭が平らで、背も低め。蒸気が抜けていく管も、珍しいT字形をしとるんや。
この形は、蒸気の流れを絞るようなもの。上まで昇った蒸気のうち、管へ抜けられるのは一部だけ。ほとんどは釜に戻って、何度も蒸留し直される。そのぶん、原酒の複雑さが増すという仕組みや。
蒸気を冷やすのは、昔ながらのワームタブ(※2)。水を張った大きな桶の中に、ぐるぐる巻いた銅の管を沈めた装置で、いまは見かけることが少なくなった。クラガンモアは、これを使い続けとる。
蒸留する前の発酵も、60時間と90時間の2種類を使い分けて、ちがう風味の原酒を造っとるんや。
(※1)ポットスチル=銅でできた単式蒸留器。形で原酒の個性が変わる。くわしくはポットスチルの用語記事へ
(※2)ワームタブ=重みのある原酒になりやすいとされる冷却装置。くわしくはオイリーの用語記事の中で
創業者ビッグ・ジョンは、客車に入れへんかった
クラガンモアを1869年に建てたのは、当時指折りのベテラン蒸溜家、ジョン・スミスや。マッカランの所長をつとめ、1858年にはいまのグレンリベット蒸溜所の立ち上げも任されとる。
土地はバリンダロッホ・エステートのもの。場所の決め手は、きれいな水と鉄道やった。水は蒸溜所のそばを流れるクラガン・バーンから引いとって、すぐ近くにはストラススペイ鉄道が走っとった。鉄道で原料を運び込み、ウイスキーを送り出す。それをスペイサイドで最初にやった蒸溜所なんや。
ところが当の本人は、体重がおよそ140kg。列車の客車の扉を通れず、車掌車に乗るのが常やったと伝えられとる。鉄道に目をつけた男が、客車には乗れへんかったんやな。
バリンダロッホ・エステートとの縁は、メリーパークファームのレビューでも書いとるで。
クラシック・モルトの、スペイサイド代表
クラシック・モルトは、いまのディアジオの前身にあたるユナイテッド・ディスティラーズが、1988年に売り出したシリーズ。スコットランドの地方ごとに代表のシングルモルトを1本ずつ選んで、6本まとめて紹介したんや。
| 地方 | 蒸溜所 | 発売当時の熟成年数 |
|---|---|---|
| ローランド | グレンキンチー | 10年 |
| スペイサイド | クラガンモア | 12年 |
| ハイランド | ダルウィニー | 15年 |
| ウェストハイランド(※1) | オーバン | 14年 |
| スカイ島 | タリスカー | 10年 |
| アイラ | ラガヴーリン | 16年 |
(※1)ウェストハイランド=同じハイランドのオーバンとダルウィニーを分けるために、このシリーズで作った区分
スペイサイドには、ユナイテッド・ディスティラーズの蒸溜所がほかにもたくさんあった。なかでも手ごわいライバルは、ダフタウンのモートラック。イギリスの「ウイスキーマガジン」には、蒸溜所のまわりの景色がもっと絵になっとったら、モートラックが選ばれとったかもしれん、とまで書かれとるんよ。
オールドパーやグリーンラベルの原酒でもある
四角いボトルでおなじみのブレンデッドウイスキー「オールドパー」にも、クラガンモアの原酒が使われとる。ジョニーウォーカー グリーンラベル15年では、タリスカーやカリラと並ぶキーモルトのひとつや。
メリット・デメリット
✅ メリット
- ✅オールドパーやグリーンラベルの原酒を味わえる:ブレンデッドに使われとる原酒を、シングルモルトで飲める
- ✅12年熟成で5,000円以内:実勢は税込4,500〜4,900円くらい
- ✅通販で手に入りやすい:Amazon・楽天・Yahoo!のどこでも見つかる定番品
❌ デメリット
- ❌煙はおだやか:ピートの効いたアイラみたいな煙を求める人には、物足りんはず
- ❌40%で、力強さは控えめ:50%を超えるボトルみたいなパンチを求める人には軽め
🗣️ マッサンの一言
5,000円以内で、12年熟成の蜂蜜とバニラの甘さをじっくり楽しめる1本や。オールドパーやグリーンラベルが好きな人は、その原酒を確かめるつもりで飲んでみてな。ガツンとした煙を求める日は、アイラのボトルに任せたらええ。
スペイサイドの12年と比べる
同じスペイサイドの12年で、値段の近い定番2本と並べてみるで。
| クラガンモア12年 | グレンフィディック12年 | グレンリベット12年 | |
|---|---|---|---|
| 蒸溜所の創業 | 1869年 | 1887年 | 1824年 |
| 公式テイスティング(香り/味わい) | 甘い花・ハーブ・蜂蜜・バニラ/しっかりした麦 | 洋梨/バタースコッチ・クリーム・モルト | バナナ・パイナップル/桃・洋ナシ・バニラ・トフィー |
| 度数 | 40% | 40% | 40% |
| 実勢価格(税込) | 4,500〜4,900円くらい | 4,000〜4,400円くらい | 4,100〜4,500円くらい |
| うちのレビュー | この記事 | グレンフィディック12年 | グレンリベット12年 |
度数は3本とも40%で、値段も近い。公式テイスティングを並べると、クラガンモアは麦、ほかの2本は洋梨やパイナップルみたいな果物の言葉が目立つんや。
おすすめの飲み方|飲み方で主役が入れ替わる
ワイはストレート・ハイボール・ロックの3つで飲んでみた。
ディアジオがすすめとる飲み方もロック。タンブラーかチューリップ型のグラスで、少し加水すると複雑さがもっと開くとしとる。
🥃 ウイスキー専門店でも探す
品揃え豊富な専門店なら、レア銘柄や限定品も見つかりやすいで。価格を比べる時の選択肢に入れてみてな。
▶ 武川蒸留酒販売(山梨の洋酒専門店・品数豊富でコスパ◎)
▶ MALKS(モルクス)(ベルーナ運営・希少/限定ボトルに強い)
📰 当サイトのガイド記事:ウイスキーを安く買う方法|5大通販ショップの賢い選び方
まとめ|甘さと香ばしい穀物、飲み方で3つの顔
ワイが感じたのは、蜂蜜とバニラの甘さに、香ばしい穀物とナッツ、ちょっとスパイシーな感じ。ストレートでは甘さ、ハイボールでは穀物感、ロックではスパイシーさが前に出てきた。
🗣️ マッサンの一言
スペイサイドの12年を探しとるなら、クラガンモアも候補に入れてほしい。甘さも香ばしさもあって、しかも飲み方で顔が変わる。ストレート、ハイボール、ロック、ぜひ全部試してみてな。
よくある質問
Q. スモーキー?
A. 強い煙はない。公式テイスティングに出てくる煙も「甘い木の煙」「軽い煙」くらいで、ピートの効いたアイラとはちがう。甘さと穀物の香ばしさが中心のウイスキーや。
Q. ハイボールに合う?
A. 合う。ワイが飲んだときは、ハイボールにすると香ばしい穀物の感じが主役になった。
Q. 蒸溜所の見学はできる?
A. 蒸溜所は稼働中やけど、見学施設はいま一般公開を休んどる。ディアジオは、近くのカーデュ蒸溜所を案内しとる。
公式情報・参考リンク
📰 クラガンモアの公式サイトほか
- Malts(ディアジオ):Cragganmore 12 Year Old(英語)
- Malts(ディアジオ):Cragganmore Distillery(英語)
- Malts(ディアジオ):Visit Cragganmore(英語)
- Whisky Magazine:Cragganmore: The reclusive classic(英語)
- キリンビール:「ジョニーウォーカー グリーンラベル15年」を新発売(2016年)
- Wikipedia:Cragganmore distillery(英語)
- Wikipedia:Classic Malts of Scotland(英語)
※価格・スペック・発売情報は本記事執筆時点のもの。
最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。
📖 この記事に出てきた用語(タップで辞典へ)
分からん言葉があったら、ここから用語辞典でサクッと確認してな。
ピート/ピーテッド…泥炭(ピート)で麦芽を燻して付ける、焚き火や正露丸みたいなスモーキーな香りのことや。
スコッチ…スコットランド産・3年以上熟成のウイスキー。世界5大ウイスキーの主役で樽芸術の本場や。
シングルモルト…単一蒸溜所のモルト原酒だけで作るウイスキー。蒸溜所の個性がそのまま出る。
アイラ…スコッチ6大産地のひとつ。ピートを効かせたスモーキーな銘柄で知られる、蒸溜所がひしめく島やで。
スペイサイド…スコッチで蒸溜所が一番集中するエリア。華やかフルーティが代名詞の名門産地や。
ハイランド…スコッチで一番広い産地。蒸溜所ごとに個性がバラバラの『多様性のデパート』や。
ローランド…スコッチの軽やか派。3回蒸留の伝統が残るスッキリ系のエリアや。

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