「カフェスチル(連続式蒸留)」って聞いたら、なんやコーヒー関係?って思うやろ?ちゃうねん、これ1830年にアイルランドの元税務官イーニアス・コフィーさんが特許を申請した蒸留器の名前なんやで。
単式蒸留器(ポットスチル)が土鍋でご飯を一回ずつ炊くやり方やとしたら、こっちは流しそうめんみたいに原料を流しっぱなしで休まず蒸留できる、大量生産時代の主役やった機械や。
ほんでな、ここがこの記事のキモやねんけど、世界中の蒸留所が効率重視で最新型カラムスチルへ切り替えていった中で、ニッカウヰスキー宮城峡蒸溜所は今もこの旧式を現役で回しとる。世界でもめっちゃ希少な機械が、宮城の山の中で湯気を立てとるってロマンの塊やろ?
この記事では、アナライザーとレクティファイヤーの仕事分担、カフェグレーンとカフェモルトの味の違い、そして「ほな何で旧式が美味いんか?」の科学的な理由まで、飲み仲間モードでかみ砕いて案内するで。
読み終わる頃には、グラスの中のグレーンウイスキーがロマンの塊に見えてくるはずやで。
ウイスキーの他の用語が気になる人は、用語辞典もチェックしてな。
📖 ひとこと定義
「カフェ」言うてもコーヒーは関係あらへんで、1830年に特許を申請したアイルランドの元税務官イーニアス・コフィー(Aeneas Coffey)さんの名前なんやで。
日本では「カフェ」表記が定着しとるけど、原語の発音は「コフィー」に近いで。
単式蒸留器が土鍋でご飯を一回ずつ炊くやり方やとしたら、連続式蒸留器は流しそうめんみたいに原料を流しっぱなしで休まず蒸留できる仕組みで、大量生産時代の主役になったんやな。
ほんでカフェスチルは設計が古い分アルコールの絞り方がちょっと緩うて、それが逆に穀物の甘い風味をほどよく残してくれるんやで。
せやからニッカは今もこの骨董品級の機械をわざわざ大事に使うて、まろやかな「カフェグレーン」を造っとるんやで。
💬 マッサンのひとこと:コフィーさんが1830年に考えた流しそうめん式の蒸留を、200年近く経った今もニッカが宮城の山の中で回し続けとる。
世界でも数えるほどしか残っとらん旧式やねん。
想像しただけでニヤッとするわ、乾杯やな🥃
🏛 ①なんで「旧式」やのに今も使われるんか
カフェスチルの正式名称は「Coffey Still(コフィー・スチル)」で、1830年にアイルランドの元収税官(消費税の取り締まり官)イーニアス・コフィー(Aeneas Coffey)が特許を申請(公布は翌1831年)した2塔式の連続式蒸留器や。「アナライザー(analyser/分析塔)」と「レクティファイヤー(rectifier/精留塔)」の2本セットで、蒸気と液体が向流(向かい合って流れる)で接触しながらアルコール度数を上げていく仕組みなんやで。当時としては画期的な「熱交換」の発想が組み込まれた装置とも言われとって、産業革命時代の発明品として歴史的価値が高いで。
ここがポイントなんやけど、現代のカラムスチルは段数をどんどん増やして高純度化が進化していった。アルコール度数95%超のニュートラルスピリッツ(無味無臭の純粋アルコール)も作れるレベルやねん。一方でカフェスチルは段数控えめ、宮城峡のものはもろみ塔24段+精溜塔42段(もろみ=発酵の終わった、蒸溜する前の液のことやで)の構成で、設計が古い分とりきれん香味成分が残る仕組みになっとる。実際には95%付近まで上げる能力もあるんやけど、ニッカはあえて低めの度数で取り出す運用をしとって、それが風味の濃さに直結しとるんやな。
この「絞りきらん/絞り過ぎん」のが逆に最大の魅力で、原料の穀物由来の甘い香り(コーンの蜜っぽさ、麦芽のクッキー香)が蒸気と一緒に残るんやで。効率を追えば追うほど風味は薄まる。せやから世界中の蒸留所が新型カラムスチルに切り替えていく中で、ニッカは「風味のため」にあえて旧式を守り続けとる。経済合理性じゃなくロマンで選んだ機械、それがカフェスチルやで。
💡 誤解しがちポイント
「連続式=安物・大量生産・無味」と思われがちやけど、それは現代の高純度カラムスチルの話や。カフェスチルは連続式の中でも一番「下手っぴ」な部類で、効率も純度も最新型に劣る。
でも、その「下手っぴさ」こそが穀物の風味を残す唯一の手段なんやで。非効率の代名詞が、いつの間にか希少価値の代名詞になったっちゅう逆転劇やな。
もうひとつ、「カフェ」はコーヒーやなくて発明者の名前。
日本では「カフェ」表記やけど、原語の発音は「コフィー」に近いんやで。
海外バーで頼むときは「コフィー・スチル・グレーン」って言うた方が通じるかもしれん。
⚙ ②アナライザーとレクティファイヤーの仕事分担
カフェスチルの2本の塔がそれぞれ何しとるか、ここを理解するとグレーンウイスキーの見え方が変わるで。
1本目の「アナライザー(分析塔/もろみ塔)」は、上から発酵液(モロミ)を流し込んで、下から蒸気を吹き上げる塔やねん。塔内には「シーブトレイ(穴あき板)」が何段も入っとって、液体と蒸気がそこで接触する。蒸気はアルコール分と香気成分を奪い取って上に抜け、残ったカス(スティレージ)は下から排出される。宮城峡のアナライザーは24段構成やで。ここで「分析(成分を分ける)」の仕事をしとるわけやな。
2本目の「レクティファイヤー(精留塔)」は、アナライザーで集めたアルコール蒸気をさらに濃縮する塔。宮城峡のレクティファイヤーは42段あって、ここがロマンあるとこでな、塔の中には冷たいモロミ(wash)が流れる蛇管(serpentine pipe)が通っとって、上昇してくるアルコール蒸気はその蛇管で冷やされながら段階的に凝縮していくんやで。沸点の違いで成分が層になって、より沸点の低い成分(=アルコール度数の高い成分)ほど上の段に集まる仕組みやな。途中の段から取り出すか、てっぺんから取り出すかで度数と風味が変わってくるねん。冷却に使われて温まったモロミは、そのままアナライザーへ送られて再利用される。当時の蒸留装置に「熱交換」の発想を組み込んだ先駆けと言われとって、コフィーさんの天才ぶりが光るポイントなんやで。よう出来とるやろ?
ちなみに連続式蒸留っちゅうのは、ポットスチルみたいに「いっぺん仕込んでスイッチ切る」やり方やなくて※ポットスチル=銅製の単式蒸留器。一回ずつ仕込んで蒸留するから手間はかかるけど、香り豊かなモルト原酒が取れるんやで。、原料を入れ続ける限り蒸留が止まらん仕組みや。10%程度のモロミを入れて、約3時間後には95%近いアルコールが出てくるっちゅうから、効率は確かに桁違いやな。せやけどニッカは効率の上限まで使い切らずに、「風味が残る帯域」で原酒を取り出す。連続式やのに「職人芸」が要るのがカフェスチルの面白さやで。
ニッカのカフェスチルは、創業者の竹鶴政孝が1962年にスコットランド・グラスゴーのブレアー社に発注して、1963年に日本へ到着。最初は朝日酒造の西宮工場(当時ニッカは資金繰りに苦しんどって、親会社の朝日麦酒が引き受けてくれた経緯がある)に設置され、1969年にニッカ所有となって、1999年に宮城峡蒸溜所へ移設されたんやで。高さ約11m、銅製、角型、シーブトレイっちゅうカフェ式の構造的特徴4点セットがぜんぶ揃った、現役で動く世界遺産級の蒸留器やな。
🥃 ③カフェグレーンとカフェモルト、味の違い
ニッカはカフェスチルで2種類の原酒を作っとる。それぞれの個性を知っとくと、飲み比べが10倍楽しくなるで。
【ニッカ カフェグレーン】
原料はコーン(トウモロコシ)が主体、一部モルトをブレンドしとる。バニラ、はちみつ、バナナ、メープルシロップみたいな甘い香りが特徴や。普通のグレーンウイスキーは「無味無臭で割材」扱いされがちやけど、カフェグレーンはシングルで成立する濃厚な甘さがある。700ml・45%のしっかりした度数で、ロックで飲んでもストレートでも香りが立つ。世界の愛好家が「グレーンの概念を変えた一本」と言うほどやで。
【ニッカ カフェモルト】
原料は100%モルト(大麦麦芽)。これがマニアックで、本来モルトはポットスチルで蒸留するもんやのに、あえてカフェスチルで蒸留しとる。だから「モルトの風味」と「カフェスチル特有のクリーンな甘さ」が両立する不思議な味になるんやで。700ml・45%、麦の香ばしさにオレンジピール、シトラス、チョコレートオレンジやミルクチョコみたいなニュアンスが乗る。
ここで流通状況を整理しとくで。この2本は2019年3月末に原酒不足で一時休売が話題になったんやけど、現在はニッカ公式の海外向けブランドページ(NIKKA COFFEY GRAIN / MALT)にも掲載されとって、地域によって入手状況が異なる扱いになっとる。完全終売やなくて「地域・タイミングで流通状況が変わる銘柄」と捉えるのが正確やねん。せやから「いつでも買える定番」やなくて、「見かけたら迷わず確保したい銘柄」っちゅう位置付けに変わっとるねん。グレーン単体を世界に売り出した蒸留所はもともと希少やから、出会えたら乾杯ものやで。
🎯 カフェグレーン vs カフェモルト 早見表
| 項目 | カフェグレーン | カフェモルト |
|---|---|---|
| 主原料 | コーン主体+モルト | 100% 大麦麦芽 |
| 蒸留器 | カフェスチル | カフェスチル(モルトをポットスチルではなく連続式で蒸留する変則型) |
| 度数/容量 | 45%/700ml | 45%/700ml |
| 香りの方向性 | バニラ・はちみつ・バナナ・メープル | 麦の香ばしさ・オレンジピール・チョコ |
| 立ち位置 | 「グレーンの概念を変えた一本」 | 「モルトをカフェで撃ち抜く変化球」 |
| 流通状況(2026年現在) | 2019年に一時休売/地域差あり(公式英語ページに掲載) | 2019年に一時休売/地域差あり(公式英語ページに掲載) |
※どちらもニッカウヰスキー公式情報ベース。
流通状況は2026年6月時点でマッサンが確認した範囲や。
🌍 ④世界でも数えるほどしか残っとらん「現役カフェスチル」の貴重さ
ここがこの記事で一番伝えたいロマンの話やで。
19世紀末から20世紀にかけて、世界中のグレーンウイスキー蒸留所はカフェスチルを採用しとった。スコッチのジョニーウォーカーやデュワーズが世界制覇できたのも、カフェ式で作る軽やかなグレーン原酒があってこそやで。せやけど20世紀後半に入って、各社は効率が高く高純度なモダンカラムスチル(多段式カラム)へ次々と切り替えていった。理由は明白で、現代のカラム式は段数が多くて、コストも時間も少なく済むからやな。
その結果、本来の「コフィー特許そのままの2塔式・銅製・シーブトレイ」っちゅう古典的なカフェスチルを、商業生産で現役運用しとる蒸留所は、世界でも片手で数えるほどの「希少種」になってしもた。ニッカ公式は「世界でも稀少」と表現しとって、ジャパニーズウイスキーの中でこのスタイルを守っとるのはニッカ宮城峡蒸溜所だけやで。
つまりや、カフェグレーンやカフェモルトを飲むっちゅうことは、「19世紀の発明品が21世紀に湯気を立て続けとる」そのものを味わうことやねん。同じスタイルのウイスキーを世界中探しても、ほぼ宮城峡からしか出てこんちゅう絶対的なオリジナリティ。これがカフェスチル銘柄が「ロマンの塊」と呼ばれる本当の理由やで。乾杯。
✨ 知っとくと自慢できるマニア豆知識
最後に、カフェスチルを語るときにサラッと使える小ネタを置いとくで。
◆発明者コフィーは元・酒の取り締まり官。イーニアス・コフィー(c.1780〜1852)は、元アイルランドの酒税徴収官(最終的には消費税監督官代行まで務めた人物)や。取り締まる側やったから蒸留の現場を知り尽くしとったんやな。皮肉なことに地元アイルランドはポットスチル至上主義で彼の発明を評価せず、海を渡ったスコットランドで大ヒットしてスコッチの土台を作った──っちゅう数奇な運命の持ち主やで。
◆宮城峡には"2セット4塔"が並ぶ。「もろみ塔+精溜塔」のセットが2セット、合計4塔並んどって、グレーン用とモルト用で使い分けとる。見学ツアーで現物を見ると、高さ約11mの巨大さと銅の経年の色合いに圧倒されるで。
◆カフェ式の特徴は"4点セット"。①角型 ②2塔式(もろみ塔+精溜塔) ③銅製 ④シーブトレイ、の4つや(ニッカ公式・アサヒビールお客様相談室の解説より)。とくに銅は香気成分と反応して硫黄系の雑味を取ってくれる立役者で、ポットスチルの蒸留器が銅製なんと同じ理屈やな。素材ひとつにロマンが詰まっとる。
🥃 まとめ
ここまで読んでくれてありがとな。
ざっくり振り返るで。カフェスチルは1830年にイーニアス・コフィーが特許申請した2塔式の連続式蒸留器で、現代のカラムスチルみたいに高純度まで上げきらん設計やからこそ、穀物の甘い風味がほどよく残る。アナライザー(分析塔・24段)でアルコール蒸気を集めて、レクティファイヤー(精留塔・42段)で蛇管に流れる冷たいモロミで凝縮しながら濃縮していく仕組みやな。
ニッカはこの旧式で「カフェグレーン」と「カフェモルト」っちゅう個性的な原酒を造ってきて、世界の愛好家がうなる味になっとる(ただし両方とも2019年3月末で休売、現在は流通在庫のみ)。
竹鶴さんが1962年に発注、1963年に上陸させた「風味のため」のあえての旧式選択、グラス傾けながら思い出してみてな。
次に飲むときはぜひ宮城峡の2塔式に思いを馳せて、ゆっくり乾杯してほしいわ。
ロマンやろ?
🧐 もう一個だけ豆知識
コフィーさんの特許書では「熱交換」っちゅう発想がすでに組み込まれとった。
出てくる蒸気の熱で、入ってくるモロミを温める。
これ、今の工場で当たり前に使われとる熱交換器の原型と言われとって、産業革命を支えた発明としても歴史教科書に載るレベルやねん。
ウイスキーの世界だけやなくて、技術史的にも「うっわ天才やん」な人物やったわけやで。
グラスに注いだら、その天才の200年越しの仕事を味わっとると思うてな🥃
📖 この記事に出てきた用語(タップで辞典へ)
分からん言葉があったら、ここから用語辞典でサクッと確認してな。
ノンチルフィルタード…冷やして濁りのもとを濾す工程をあえてやらん造り。香味成分が残って、味に厚みが出やすいんや。
シングルグレーン…1つの蒸溜所のグレーン原酒だけで造ったウイスキー。軽やかで甘い口当たりが特徴や。
ヴァッティング…同じ種類の原酒どうしを混ぜ合わせて味を組み立てる作業のことや。
マリッジ…混ぜたあとの原酒をしばらく寝かせて、味をなじませ一体化させる工程のことや。
スコッチ…スコットランド産・3年以上熟成のウイスキー。世界5大ウイスキーの主役で樽芸術の本場や。
ジャパニーズウイスキー…日本国内で糖化〜瓶詰・3年以上熟成・40%以上が新基準(2024年完全施行)や。
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カフェスチル(連続式蒸留)以外にも、シングルグレーン・ヴァッティング・マリッジ・ノンチルフィルタードなど、樽の種類・製法・仕上げまで22の用語を一覧でチェックできるで🥃
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