新道蒸溜所とは?|甘酒の蔵が福岡で始めたウイスキーと、酵母を2種類使う造り

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新道蒸溜所の外観 ジャパニーズウイスキー

福岡県朝倉市。九州でいちばん大きな川、筑後川の近くに、紺色の建物が並んどる。まわりには田んぼと山が広がる、のどかな場所や。

ここにあるのが、新道(しんどう)蒸溜所。

造ったのは、江戸時代の後期から朝倉で酒を造ってきた株式会社篠崎や。「国菊あまざけ」で知られる蔵元が、2021年8月にウイスキーの蒸留を始めた。

新道のいちばんの特徴は、酵母を2種類使う発酵にある。

ふつうは1種類の酵母で発酵させるところに、独自の酵母をもう1種類加える。狙うのは、「全体の1%にも満たないような」マイナーな香りや。

そんな新道が、初めてのシングルモルトを出したときに残した言葉がある。

「完成品なんておこがましい。現在自分たちができうる最高のご提案をさせていただこう」
——初のシングルモルト「SHINDO EXPERIMENTAL 01」の発表(2025年)

この言葉どおり、まだまだ挑戦の途中という姿勢なんやな。

それから1年あまりで、ボトルの種類はぐんと増えた。

甘酒と焼酎を造ってきた蔵元が、どんなウイスキーを目指しとるんか。まずは蒸溜所のある土地から見ていこか。

🎯 結論|新道蒸溜所はこんな人におすすめ

  • ✅ミルキーでトフィーみたいな甘い香りのシングルモルトが好きな人
  • ✅酵母を2種類使う発酵や、栗樽・新樽みたいな造りの話を肴に飲むのが好きな人
  • ✅樽の割合まで公開しとる、まだ若い蒸溜所を追いかけたい人
  • ✅福岡空港から1時間の蒸溜所で、見学やハンドフィルをしてみたい人

🏞 新道蒸溜所って、どこにあるん?

福岡県朝倉市のSHINDO LAB
福岡県朝倉市のSHINDO LAB(画像出典:PR TIMES)

新道蒸溜所があるのは、福岡県朝倉市比良松。福岡空港から車で約1時間、大分自動車道の朝倉ICを降りてすぐの場所や。

近くを流れる筑後川は、九州でいちばん大きな川。

朝倉には3つのダムがあって、福岡市やそのまわりに水を送っとる。「水のふるさと」とも呼ばれる土地なんや。

ウイスキーの仕込みには、敷地でくむ井戸水を使う。硬度は85(※1)や。

蒸溜所の名前になった「新道」は、この辺りの地名から来とる。

そこに、ウイスキー造りの「新しい道」を拓くという思いも込めた。コンセプトは「王道で、新道。」や。

敷地の広さは約5,500坪(約1万8,000㎡)。

新道蒸溜所のほかに、ワイナリーとショップ「SHINDO LAB STAND」が並んどる。この施設全体をSHINDO LABと呼ぶんや。

(※1)硬度=水に含まれるカルシウムやマグネシウムの量の目安。数字が小さいほど軟らかい水になる

所在地福岡県朝倉市比良松626番地1
運営株式会社篠崎(江戸時代後期に清酒造りで創業)
ウイスキー造り開始2021年8月
敷地約5,500坪(約1万8,000㎡)
仕込み水井戸水(硬度85)
年間の生産能力約14万リットル(アルコール度数60%の原酒で)
ブランドSHINDO(シングルモルト・ブレンデッドほか)
見学蒸溜所ツアー(予約制・5,000円)

📜 新道蒸溜所の主な歩み

新道蒸溜所を運営する篠崎は、江戸時代の後期、文化・文政のころに日本酒造りを始めた蔵元や。

いまからおよそ200年前のこと。約100年前には、日本酒の銘柄を「国菊」に変えとる。

1980年には、米麹で造る「国菊あまざけ」と、樽熟成の麦焼酎「千年の眠り」を発売した。

なかでも甘酒は、いまも年間約200万本を造る看板商品や。

そんな篠崎がウイスキー造りに進むきっかけには、ある日本人化学者の話があったんや。

麹のウイスキーと、高峰譲吉博士

その化学者が、高峰譲吉博士や。

約100年前、アドレナリンの結晶を取り出すことに初めて成功した人物として知られとる。

博士はそれより前に、アメリカのウイスキー会社から招かれとった。

そこで挑んだのが、麦芽の代わりに麹を使うウイスキー造りや。

ところが、当時のアメリカで古いやり方を守ろうとする勢力にはばまれて、実を結ばへんかった。

篠崎の先代は、この話を、子どもやったいまの社長・篠崎倫明さんによう聞かせとった。

その後、樽熟成の麦焼酎を造りながら、博士の製法を再現する準備を進める。アメリカの特許から製法を取り寄せたんや。

そして2021年、麹で造った「TAKAMINE KOJI FERMENTED WHISKEY」をアメリカで発売した。

アメリカでは、麹を使うても、決まった製法を守れば「ウイスキー」と認められとる。

一方、日本では「麹を使ったものはウイスキーではない」という声も上がった。

厳しい声やけど、それだけウイスキーを大事に思う人が多いということでもある。

倫明さんはその熱量に触れて、次の挑戦に、麦芽で造るウイスキーを選んだ。

こうして生まれたのが、新道蒸溜所なんや。

新道では麹を使わへん。 工場も新しく建てた、TAKAMINEとはまったく別のプロジェクトや。

2021年8月、福岡県初のウイスキー蒸溜所に

2021年の夏、篠崎は朝倉市の新道にSHINDO LABを開いた。

そして8月、ウイスキーの蒸留を開始。福岡県で初めてのウイスキー蒸溜所が動き出したんや。

篠崎にとって、麦芽を使うウイスキー造りは初めての経験。

そこで、大手ウイスキーメーカーにおった著名な蒸溜家に教わりながら、造りを組み立てていった。

大切にしたのは、工程のひとつひとつに化学的な根拠を持たせることや。

2022年には、最初の製品「NEW MAKE」(※1)を発売した。

2024年には「SHINDO NEW MAKE PEATED」が、ワールド・ウイスキー・アワード(※2)のニューメイク部門でGOLDを受賞。

翌2025年には、樽で寝かせはじめて間もない原酒「SHINDO NEW BORN」が、同じアワードで部門最高賞(カテゴリー・ウィナー)を受けとった。

樽熟成を重ねたシングルモルトを出す前から、原酒が評価されとったんやな。

(※1)ニューメイク=蒸留したての、樽に入れる前の原酒。くわしくはニューメイクの用語記事へ
(※2)ワールド・ウイスキー・アワード=イギリスのウイスキー雑誌「ウイスキーマガジン」の発行元が開く品評会。銘柄を伏せて審査する

最初のシングルモルトは「実験的な」1本

SHINDO EXPERIMENTAL 01 のブレンドの試作
SHINDO EXPERIMENTAL 01 のブレンドの試作(画像出典:PR TIMES)

2025年6月14日、新道蒸溜所から初めてのシングルモルトが発売された。

名前は「SHINDO EXPERIMENTAL 01」。1万本限定で、アルコール度数は50%。価格は税込14,300円や。

「EXPERIMENTAL」は「実験的な」という意味。

ジャパニーズウイスキーの先人に敬意を払いながら、新人の挑戦者として「いまできる最高の提案」を届ける。

そんな姿勢を、そのまま名前にしたんや。

開発では、3年から約4年熟成した樽を使って、約100通りの組み合わせを試した。

ブレンダーが選ぶ基準にしたのは、「ミルキーでファッティなラクトン香(※1)が充分に感じられるか」ということ。

最終的に決まった樽の割合はこちらや。

バーボン樽91%・オロロソシェリー樽4%・ミズナラ新樽4%・スコッチのリフィル樽1%。

ニューメイクの良さを見せるために、あえてシンプルな構成にしたんや。

アルコール度数を50%にしたのにも理由がある。

新道が、この原酒にちょうどええと考えた度数は46〜48%くらい。

そこから少し高めの50%にして、水を足しながら「自分だけの一杯」を探せるようにしたんや。

(※1)ラクトン=ココナッツやミルクを思わせる、甘い香りのもとになる成分

創業からいままでの主な出来事を、年表にまとめとくで。

  • 江戸時代後期 文化・文政のころ、清酒造りで創業
  • 約100年前 日本酒の銘柄を「国菊」に
  • 1980年 「国菊あまざけ」と、樽熟成の麦焼酎「千年の眠り」を発売
  • 2020年 蒸留設備を置いて、ジンの蒸留を始める(「Jin40」)
  • 2021年 アメリカで「TAKAMINE KOJI FERMENTED WHISKEY」を発売/夏に SHINDO LAB を開設、8月にウイスキーの蒸留を開始/秋にワインの製造を開始
  • 2022年 最初の製品「NEW MAKE」を限定発売/朝倉蒸溜所でグレーンウイスキーの製造を開始
  • 2024年 WWA2024で「SHINDO NEW MAKE PEATED」がGOLD/7月 ショップ「SHINDO LAB STAND」がオープン/8月 蒸溜所ツアーとハンドフィル体験を開始
  • 2025年 WWA2025で「SHINDO NEW BORN」が部門最高賞/6月 初のシングルモルト「SHINDO EXPERIMENTAL 01」発売/「EXPERIMENTAL FOR CORES.01」「同 .02」発売
  • 2026年 2月「EXPERIMENTAL 02」/6月 初のブレンデッド「The Blended 2026 – Non Peated」(ISC2026 GOLD)/9月「EXPERIMENTAL FOR CORES.03」/10月 新潟亀田蒸溜所と原酒を交換した「Cross Distillery 01」

⚙ 造りの中身|「1%にも満たない香り」はどこで生まれる?

新道蒸溜所が目指すのは、「全体の1%にも満たないようなマイナーな香り」や。

その香りを生み出すために、原料の処理から糖化、発酵、蒸留まで、工程ごとに化学的な根拠を持たせとる。

設備にもこだわりがある。

糖化槽、発酵槽、ポットスチルは、すべて日本の三宅製作所製。将来の手入れのしやすさまで考えて選んだんや。

ほな、実際の造りを順番に見ていこか。

麦芽と糖化|1回に1トン、年に約230回

麦芽は、イギリスのポールズモルトなどから仕入れとる。仕入れ先は年ごとに変えるんや。

使うのは、ピートを焚かへんノンピート麦芽と、しっかり焚いたヘビリーピーテッド麦芽(※1)の2種類。

麦芽を挽く機械は、ドイツ・キュンツェル製のローラーミル(※2)や。

仕込みは1回に1トン。年間約230回、週5回ほどのペースで造っとる。

糖化には、ステンレス製のセミロイタータンという糖化槽(※3)を使う。

ここで大切なのが、槽の底にたまる麦芽の殻や。

殻が重なった層がフィルターの役目をするから、澄んだ麦汁を取るには、この層をうまく作らなあかん。

こうして1回の仕込みから、約5,800リットルの麦汁を取るんや。

(※1)ヘビリーピーテッド=ピートの煙で強くいぶした麦芽。くわしくはピート/ピーテッドの用語記事へ
(※2)ローラーミル=ローラーのすき間に麦芽を通して挽く機械。挽き方で糖化の出来が変わる。くわしくは粉砕(ミリング)の用語記事へ
(※3)糖化槽=挽いた麦芽をお湯と混ぜて、デンプンを糖に変える槽。セミロイタータンは、底のふるいで麦汁を濾し取る形の一種。くわしくは糖化(マッシング)の用語記事へ

発酵|酵母は2種類

ここが、新道蒸溜所のいちばんの特徴や。

発酵には、2種類の酵母(※1)を使う。

ひとつはケリー社のプレス酵母。もうひとつは、新道が独自に開発した酵母や。独自酵母の中身は明かしてへん。

発酵の前に酵母を育てる酒母タンク(※2)も、2基そろえとる。

発酵槽はステンレス製で、全部で5基。1基に約7,000リットル入る。

発酵時間は78時間か120時間。できあがるもろみのアルコール度数は約7%や。

ほな、なんで酵母を2種類使うんか。

狙いは、甘い香りと爽やかな香りを両立させることや。

土台になるのは、ラクトン系の重たく甘い香り。そこにグリーンアルデヒド(※3)による、草原のような青々とした香りを重ねる。

こうして、樽に入れる前のニューメイクから、甘く心地ええ香りを作り込むんや。

樽に頼る前から香りを作る。 これが新道の大きな強みやな。

(※1)酵母=麦汁の糖をアルコールに変える微生物。香りのもとも生む。くわしくは発酵の用語記事へ
(※2)酒母タンク=発酵の前に、酵母を育てて増やしておくタンク
(※3)グリーンアルデヒド=刈りたての草や葉っぱを思わせる、青々とした香りの成分

蒸留|ストレート型とランタン型

新道蒸溜所のポットスチル
新道蒸溜所のポットスチル(画像出典:PR TIMES)

新道蒸溜所のポットスチル(※1)は2基。

どちらも三宅製作所製で、新道が目指す酒質に合わせて造った特注品や。

最初の蒸留に使う初留器は、5,800リットルのストレート型。

2回目の蒸留に使う再留器は、3,300リットルのランタン型(※2)や。

加熱はどちらもスチーム式。ラインアーム(※3)は2基とも水平になっとる。

蒸気を冷やすのは、シェル&チューブ式のコンデンサーや。

こうして蒸留した原酒は、アルコール度数65%で樽に詰める。

年間の生産能力は、アルコール度数60%の原酒に換算して約14万リットルや。

(※1)ポットスチル=銅でできた単式蒸留器。形で酒質が変わる。くわしくはポットスチルの用語記事へ
(※2)ランタン型=首の下がくびれて、ランタン(手提げランプ)のような形をしたポットスチル。上がった蒸気の一部が冷えて釜に戻りやすく、軽やかな酒質になりやすいと言われとる
(※3)ラインアーム=スチルのてっぺんから冷却器へ、蒸気を運ぶ管。角度は酒質を左右する要素のひとつ

樽と熟成|10種類を超える樽と「出し時」

新道蒸溜所の熟成庫
新道蒸溜所の熟成庫(画像出典:PR TIMES)

新道では、10種類を超える樽で原酒を熟成させとる。

中心になるのは、バーボン樽とシェリー樽や。

ほかにも、ミズナラの新樽、栗樽、コニャック樽、アメリカンホワイトオークの新樽、自社のラム樽などを使う。

これだけ多くの樽を扱う土台には、篠崎が長年培ってきた焼酎の樽熟成の経験がある。

新道が大切にしとるのは、樽の「出し時」や。

出すのが早すぎると、原酒が未熟で渋みも立つ。反対に長く寝かせすぎると、樽の影響が強くなりすぎる。

せやから、樽ごとの熟成の進み具合を見極めとるんや。

熟成庫では、4段のラックに樽を積む方式と、パレットに置く方式を併用しとる。新しい熟成庫も建設中や。

さらに将来は、発酵の桶や熟成の樽を、自分とこの山の木で造る計画まである。

日田市で手がけとる林業では、広葉樹の植樹も始めた。

目指すのは、「森から育てるウイスキー」なんや。

酒蔵の経験が、ウイスキーにどう生きとるか

篠崎は、もともと日本酒と甘酒と焼酎を造ってきた蔵元や。

つまり、麹や酵母を使った発酵と、長いこと向き合うてきた会社なんやな。

そう考えると、新道が「酵母を2種類使う発酵」を個性の中心に置いたんも、自然な流れに思える。

しかも、最初に出した製品はニューメイク。最初に賞を取ったのもニューメイクやった。

それだけ、樽に入れる前の原酒そのものに自信があったんちゃうかな。

発酵と樽熟成。篠崎が積み重ねてきた経験を、ウイスキー造りに生かした蒸溜所なんやと思う。

🗣️ マッサンの一言

新道は、まずニューメイクの甘い香りを作り込んで、その良さを生かす樽を選んどるように見える。発酵から樽熟成まで、ちゃんとつながっとる感じがするな。

🧐 へぇ〜! ボトル豆知識(タップで開く)

ロゴに込めたのは、筑後川
SHINDO LAB のロゴには、お酒の新しい道を切り拓く意志と、近くを流れる筑後川の豊かな水が込められとる。

ラベルの数字は、蒸溜所の場所
ボトルのラベルの上に入っとる「33.381627」と「130.728104」は、緯度と経度。指しとるのは朝倉市比良松、SHINDO LAB のある場所や。

看板の文字は、書家の書
新道蒸溜所の看板の文字は、書家・川尾朋子さんの書や。

🥃 新道蒸溜所の代表ボトル

新道のシングルモルトには、大きく2つのシリーズがある。

ひとつは、新道らしさを素直に見せる「EXPERIMENTAL」。

もうひとつが、樽の探究をさらに深めた数量限定の「EXPERIMENTAL FOR CORES」や。

どちらも、使った樽の割合まで公開しとる。

そこを見比べると、新道がどんな香りや味を目指して樽を組み合わせたんか、見えてくるで。

SHINDO EXPERIMENTAL 02

種類 シングルモルト(ジャパニーズウイスキー)
原酒 すべてノンピート。バーボン樽89%・オロロソシェリー樽6%・ブランデー樽5%
度数・容量 48%・700ml
価格(税込) 14,300円
発売 2026年2月27日
テイスティングノート 口に含むとミルキーな甘さやコクのある熟成感が層となって押し寄せ、新道のニューメイクならではのトッフィーなキャラクターと重なりながら調和していきます

「EXPERIMENTAL」の第2弾や。

01の発売から1年もたたんうちに、さらに熟成が進んだ原酒を使って組み直した1本なんや。

特徴は、ミルキーな甘さとトフィーの香り。

華やかなエステル香に、ほどよく香ばしいドライフルーツ。そこにラクトン由来のミルキーさが重なる。

新道は、「作り込んだニューメイクこそが、新道蒸溜所の核」と言い切っとる。

その考え方が、よく表れたボトルやな。

SHINDO EXPERIMENTAL FOR CORES.03(数量限定)

種類 シングルモルト(ジャパニーズウイスキー)
原酒 アメリカンホワイトオーク新樽(ノンピート・4年熟成)24%・バーボン樽(ピーテッド)36%・シーズニングシェリー樽(4年熟成)14%・バーボン樽12%・ミズナラ新樽6%・オロロソシェリー樽4%・コニャック樽4%
度数・容量 50%・700ml
価格(税込) 13,200円
発売 2026年9月12日
テイスティングノート 甘やかさを中心にスモーキーさ、華やかさ、ビターな落ち着きを兼ね備えて渾然とまとまり、円熟した味わいとなっています

「CORES」は、よりコアなウイスキー好きに向けて、ひとつのテーマを深く掘り下げるシリーズや。

その第3弾で主役になったのが、アメリカンホワイトオークの新樽(※1)。

アメリカンホワイトオークといえば、バニラの香りが有名やな。

けど、新道が注目したんは別の香り。

テルペン類(※2)から生まれる、針葉樹みたいな爽やかさや。

この青々とした香りは、樽から早い段階で溶け出す。そのため、熟成が短すぎると木の香りが強く出すぎるんや。

ところが3年ほどたつと、青い香りとバニラの甘さが釣り合いはじめる。原酒の未熟な香りも落ち着いてくる。

新道はそこからさらに待って、4年熟成した原酒を使うた。

これに控えめなピートを合わせると、土や苔のニュアンスが生まれた。

その香味を、新道は「スコットランドの深い渓谷や丘陵に佇んでいるような」と表現しとる。

(※1)新樽=一度もお酒を入れてへん、まっさらな樽。くわしくはバージンオーク(新樽)の用語記事へ
(※2)テルペン類=木や果物の香りのもとになる成分のグループ。松や杉みたいな香りもここから来る

CORESの前の2本も、なかなか個性的やで。

CORES.01の主役は栗樽。なんと全体の55%を占めとる。

栗樽の特徴は、メープルのような濃い甘さとスパイシーさ。それに、渋皮みたいなほろ苦さもある。

ただ、渋みが出るから扱いが難しい樽でもあるんや。

そこにバーボン樽43%とコニャック樽2%を合わせたのがCORES.01や。

続くCORES.02は、新道のシングルモルトで初めてピーテッド原酒を使った1本。

ピートを効かせたバーボン樽の原酒が67%を占める。

そこにミズナラ新樽13%を加えて、ピートと後味の甘さをつないどるんや。

CORES.01もCORES.02も、アルコール度数は48%。それぞれ1,800本限定で、価格は税込16,500円や。

SHINDO The Blended 2026 – Non Peated

種類 ブレンデッド(ジャパニーズウイスキー)
原酒 新道蒸溜所のモルトと、朝倉蒸溜所のグレーン(どちらも自社製)
度数・容量 46%・700ml
価格(税込) 5,940円
発売 2026年6月15日
受賞 INTERNATIONAL SPIRITS CHALLENGE 2026 GOLD
テイスティングノート バニラ感と、はじける夏みかんのほんのりビターな爽やかさ。華やかで軽い口当たりに、麦の優しい甘みが伸びやかに続きます。焦がしバターのミルキーな余韻と重なり、穏やかに花ひらく味わいです

こちらは、新道で初めてのブレンデッドウイスキーや。

使うのは、新道蒸溜所のモルト原酒と、朝倉蒸溜所のグレーン原酒。どちらも篠崎が自社で造っとる。

グレーンの原料は、地元・朝倉産の大麦「はるか二条」や。

グレーンは2回蒸留するんやけど、1回目と2回目で別の蒸留器を使うねん。

1回目は減圧蒸留(※1)で、焦げたにおいを抑える。

2回目は、銅のスチルを備えたハイブリッド式蒸留器。銅に触れさせることで、嫌な香りを取り除くんや。

こうして、軽やかでクリーンなグレーンを目指しとる。

このボトルが生まれたきっかけは、「水割りやハイボールで、もっと気軽に飲めるウイスキーを」という声やった。

価格は税込5,940円。6,000円を切るから、新道のウイスキーを初めて買う人にも選びやすいな。

味の予想は、SHINDO The Blended 2026のレビューで書いとるで。

(※1)減圧蒸留=釜の中の気圧を下げて、低い温度で沸かす蒸留のやり方。熱で香りが崩れにくい

SHINDO Cross Distillery 01

種類 ブレンデッドモルト(ジャパニーズウイスキー)
原酒 新道蒸溜所と新潟亀田蒸溜所の、ノンピート・バーボン樽熟成のモルト原酒
度数・容量 50%・700ml
価格(税込) 16,500円
発売 2026年10月15日
テイスティングノート 穏やかで厚みのある味わい。穏やかな麦の味わいから、次第にドライマンゴーやピーチを思わせるトロピカルな甘さ、ココナッツを思わせるミルキーな甘さへ

これは、新道蒸溜所と新潟亀田蒸溜所が原酒を交換して造ったウイスキーや。

「Cross Distillery」というシリーズの第1弾で、お互いの原酒を交換し、それぞれが自分のボトルに仕上げる企画なんや。

交換する原酒には、ひとつ決まりがある。

ノンピートで、バーボン樽熟成の原酒だけを使うこと。

その条件で造った新道側のボトルが「SHINDO Cross Distillery 01」や。

一方、新潟亀田蒸溜所からは「KAMEDA85 feat. SHINDO」が発売された。

同じ原酒交換から生まれた2本のちがいは、SHINDO Cross Distillery 01の予習レビューでくわしく書いとるで。

福岡空港で買える「TRAVEL RETAIL EXCLUSIVE」

新道には、旅行者向けの「TRAVEL RETAIL EXCLUSIVE」というシリーズもある。

空港を中心に販売するもので、取扱店は福岡空港や。

種類は、ピーテッドとノンピートの2つ。

ピーテッドの特徴は、日本ならではの樽材を使うとるところや。栗樽とミズナラ樽を、両方組み合わせとる。

一方のノンピートは、アメリカンホワイトオーク新樽が中心。

洋梨や青りんごみたいな爽やかな香りで、「旅のはじまり」を表現しとるんや。

🗣️ マッサンの一言

最初の1本なら、ワイはEXPERIMENTAL 02を選びたい。新道が「核」と呼ぶニューメイクの甘さを、素直に楽しめそうやからな。手ごろに試すならThe Blended 2026。さらにCORESへ進めば、樽の割合を見比べるだけでも面白そうやで。

💰 SHINDO EXPERIMENTAL 02の最安値をチェック

価格は時期で変動。購入前に複数サイト比較を。

🥃 ウイスキー専門店でも探す

品揃え豊富な専門店なら、レア銘柄や限定品も見つかりやすいで。価格を比べる時の選択肢に入れてみてな。
▶ 武川蒸留酒販売(山梨の洋酒専門店・品数豊富でコスパ◎)
▶ MALKS(モルクス)(ベルーナ運営・希少/限定ボトルに強い)

📰 当サイトのガイド記事:ウイスキーを安く買う方法|5大通販ショップの賢い選び方

🚌 蒸溜所に行ってみたい人へ

新道蒸溜所では、見学ツアーとハンドフィル体験ができる。

どちらも2024年8月に始まったんや。

所要時間約2時間(試飲を含む)
参加費5,000円(税込)
人数1回につき10人まで(ほかのグループと一緒に回る)
試飲ニューメイクやカスクサンプルなど。試飲できへん人には持ち帰りのセットがある
ガイド英語で案内できるガイドの回もある
予約SHINDO LAB 公式サイトのツアー予約から
注意コースに階段がある(車椅子での参加は難しい)
SHINDO LAB STAND のハンドフィル
SHINDO LAB STAND のハンドフィル(画像出典:PR TIMES)

敷地内のショップ「SHINDO LAB STAND」では、ハンドフィル(※1)も楽しめる。

使うのは、スコットランドと同じガラスシリンダー式の装置。新道は、日本で初めて導入したと紹介しとる。

ハンドフィル用の原酒は、その時々で熟成のバランスが取れた樽から選ばれる。

候補になるのは、バーボン樽、シェリー樽、ミズナラ樽、栗樽、自社のラム樽などや。

自分で瓶詰めしたら、ラベルに熟成期間・度数・瓶詰めの日・自分の名前を書き込める。

ショップの営業時間は10:00〜16:00で、ラストオーダーは15:30。定休日は水曜と木曜や。

店内では、篠崎の日本酒や焼酎の試飲もできる。甘酒アイスやソーセージも置いとるで。

アクセスは、福岡空港から車か高速バスで約1時間。

車なら、大分自動車道の朝倉ICを降りてすぐや。

高速バスなら「日田」行きに乗って、バス停「朝倉IC」で降りる。そこから歩いて10分やで。

(※1)ハンドフィル=樽から出した原酒を、自分の手で瓶に詰める体験

🎁 まとめ|発酵の蔵が、ウイスキーで「新しい道」を拓く

新道蒸溜所は、江戸時代の後期から酒を造ってきた篠崎が、2021年に始めたウイスキー蒸溜所や。

いちばんの特徴は、酵母を2種類使う発酵。

樽に入れる前から甘い香りを作り込み、10種類を超える樽で、その良さを育てていく。

しかも、シングルモルトでは使った樽の割合まで公開しとるんや。

最初のシングルモルトを出したときの言葉は、「完成品なんておこがましい」。

そこからまだ1年あまりやけど、CORESシリーズにブレンデッド、ほかの蒸溜所との原酒交換と、挑戦の幅はどんどん広がっとる。

🗣️ マッサンの一言

「EXPERIMENTAL(実験的な)」という名前も、樽の割合を公開する姿勢も面白いな。造り手が何を試しとるんか、一緒に追いかけたくなる。いつかEXPERIMENTALの名前を外した1本が出たら、そのときはぜひ乾杯したいわ。

🥃 新道蒸溜所のウイスキーを手に入れる

EXPERIMENTAL・CORES・The Blended。気になる1本を探してみてな

❓ よくある質問

Q. 「新道」は何と読むん?

「しんどう」や。

蒸溜所のある朝倉市の地名から来とる。ウイスキー造りの「新しい道」を拓くという思いも込められた名前なんや。

Q. 新道蒸溜所のウイスキーは、ジャパニーズウイスキーなん?

EXPERIMENTALとCORESは「シングルモルト・ジャパニーズウイスキー」として発売されとる。

The Blended 2026も「ブレンデッドジャパニーズウイスキー」や。

ちなみに、アメリカで売っとる麹の「TAKAMINE」は、新道蒸溜所とは別のプロジェクトやで。

Q. 蒸溜所の見学はできるん?

できるで。

見学ツアーは約2時間で、参加費は5,000円(税込)。1回10人まで参加できる。

予約はSHINDO LABの公式サイトからや。

Q. どこで買えるん?

全国の取扱店や通販で買えるで。

新しいボトルは、蒸溜所のショップ「SHINDO LAB STAND」にも数量限定で並ぶ。

ただ、SHINDO LABの公式オンラインストアはグッズのみ。ウイスキーは扱うてへん。

公式情報・参考リンク

📰 新道蒸溜所・篠崎の公式サイトとプレスリリースほか

※記事内の写真の出典:PR TIMES(株式会社篠崎)

※価格・スペック・見学の情報は本記事執筆時点のもの。
最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。

📖 この記事に出てきた用語(タップで辞典へ)

分からん言葉があったら、ここから用語辞典でサクッと確認してな。

ピート/ピーテッド…泥炭(ピート)で麦芽を燻して付ける、焚き火や正露丸みたいなスモーキーな香りのことや。

シェリー樽…スペインの酒精強化ワイン「シェリー」を熟成させた樽や、ウイスキー用にシェリーで風味づけ(シーズニング)した樽。中身のシェリーの種類で味の向きが変わるんや。

オロロソ(シェリー樽)…酸化熟成でつくる辛口のシェリー。この樽で寝かせたウイスキーに、ドライフルーツ・ナッツ・黒糖みたいなコクのある風味が移るで。

ミズナラ樽…日本産のオーク(ナラ)の樽。白檀やお香みたいな“和”の香りが付く、世界が憧れる希少な樽やで。

バージンオーク(新樽)…一度も使ってへん新品の樽。バニラやウッディな樽の香りが正面から前に出てくる、樽との交流がいちばん濃いタイプや。

オーク…ウイスキー熟成の主要樽材。アメリカン(甘いお菓子系)/ヨーロピアン・スパニッシュ(濃厚ドライフルーツ系)/ミズナラ(和のお香系)/フレンチ(上品スパイス系)などの樽材で香味の方向性が決まる。

アメリカンオーク…バーボン樽の主役(Quercus alba)。バニリンとラクトンが豊富で、バニラ・ココナッツ・キャラメル系の甘い樽香を生む。世界のウイスキーの主力熟成樽やで。

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